2026年4〜6月期の半導体決算を、市場予想と実績で比べました。TSMC・インテル・ASMLは予想を上回り、SKハイニックスだけが未達。サムスンは営業利益89.5兆ウォンで過去最高です。どこが伸びたのかを分野別に整理します。
この記事の結論(30秒)
- AIの「作る側」は全社好調。TSMC・インテル・ASMLは市場予想を上回りました。
- 唯一の未達がSKハイニックス。利益率76%でも予想に届かず、株価は9.6%下がりました。
- サムスンの利益はほぼ全部が半導体。全社の営業利益89.5兆ウォンのうち89.2兆ウォンが半導体部門です。
- 供給不足は2026年後半も続く見通し。サムスンは「増産しても供給制約は続く」としています。
- 光電融合はこれから。関連銘柄の決算は8月中旬以降です。
2026年4〜6月期 半導体決算 一覧(市場予想との比較)
まず全体像です。「予想を上回ったか」で並べると、いま何が起きているかが見えます。
| 企業(発表日) | 売上 | 利益 | 市場予想と比べて |
|---|---|---|---|
| TSMC 7/16・ファウンドリ |
NT$1兆2,704億 前年同期比+36.0% |
純利益 NT$7,066億 +77.4% |
上回った 純利益 予想NT$6,326億 |
| インテル 7/23・CPU/ファウンドリ |
161億ドル +25% |
調整後EPS 0.42ドル | 大きく上回った 売上予想144.2億ドル・EPS予想0.21ドル |
| ASML 7/15・製造装置 |
93億ユーロ ガイダンス上限超え |
純利益 29億ユーロ | 上回った 会社見通し84〜90億ユーロ |
| サムスン電子 7/30・メモリ/ファウンドリ |
171.5兆ウォン 前期比+28%・過去最高 |
営業利益 89.5兆ウォン 過去最高 |
半導体(DS)部門だけで 営業利益89.2兆ウォン |
| SKハイニックス 7/29・メモリ |
79.32兆ウォン | 営業利益 60.54兆ウォン 利益率76% |
届かなかった 予想 売上約83.9兆・営業約64.2兆 |
| キオクシア 7/31・メモリ |
1兆7,671億円 +415.5% |
営業利益 1兆2,700億円 前年同期449億円 |
10/1に1株→3株の株式分割 |
| 東京エレクトロン 7/30・製造装置 |
7,323億円 +33.3% |
営業利益 2,114億円 +46.1% |
通期予想は未開示 |
| アドバンテスト 7/29・製造装置 |
通期 1兆7,140億円 従来1兆4,200億円 |
通期営業 8,460億円 +34.8%上方修正 |
推論用AI半導体のテスト需要 |
※市場予想は各社発表を報じた金融メディアの集計値です。集計する機関によって数値は異なります。あくまで目安としてご覧ください。
① メモリ|過去最高でも、株価は下がることがある
サムスン電子は2026年4〜6月期に、連結売上171.5兆ウォン(前期比+28%)・営業利益89.5兆ウォンと、どちらも過去最高を更新しました。注目すべきは中身です。半導体を担うDS部門だけで営業利益89.2兆ウォン。つまり会社の利益は、ほぼ全部が半導体から出ています。スマートフォンなどのDX部門は前期比で売上が9%減りました。
メモリ事業はHBM4の販売を拡大し、業界で初めてHBM4Eのサンプルを主要顧客に出荷しました。「サムスンは追う側」という見方は、もう当てはまらなくなってきています。
一方のSKハイニックスは、売上79.32兆ウォン・営業利益60.54兆ウォン・営業利益率76%という数字を出しました。それでも売上・営業利益とも市場予想に届かず、発表当日の株価は9.6%下落しています。
🔑 ここが今回いちばん大事な点です。メモリ株は「業績が良いかどうか」ではなく、「市場の期待をどれだけ超えられるか」で株価が決まる段階に入りました。決算の数字だけを見て買うと、良い決算なのに下がる、ということが起こります。
キオクシアは売上1兆7,671億円・営業利益1兆2,700億円。前の期の年間営業利益8,704億円を、1四半期だけで上回りました。あわせて2026年10月1日に1株を3株にする株式分割も決めています。1株の値段が3分の1になるため、買うのに必要なお金も3分の1になります。
マイクロンはこの期間に新しい決算はありません。決算期がずれており、次回は9月下旬の予定です。
各社の詳しい比較は「サムスン vs SKハイニックス vs マイクロン|メモリ3強を徹底比較」と「キオクシア株は買いか?」で解説しています。
② ファウンドリ|TSMCが5四半期連続で最高益、インテルも復調
TSMCの4〜6月期は売上NT$1兆2,704億(約402億ドル)・純利益NT$7,066億。純利益は前年同期比+77.4%で、5四半期連続の最高益です。市場予想の純利益NT$6,326億を大きく上回りました。7〜9月の見通しも446〜458億ドルと、市場予想を約20億ドル上回る強気の数字を出しています。あわせてアリゾナへの追加1,000億ドル投資も発表しました。
インテルは売上161億ドル(予想144.2億ドル)・調整後EPS 0.42ドル(予想0.21ドル)と、予想を大幅に上回りました。売上の伸びは前年同期比+25%で、15年以上ぶりの高い伸びです。自社の最先端プロセス「18A」の歩留まりが65%から85%へ改善し、外部のクラウド事業者から初めての商用受注も獲得しました。発表後の時間外取引で株価は12〜13%上昇しています。
サムスンのファウンドリ事業は、メモリ事業ほどの勢いはありません。今回の好決算はメモリが牽引した形です。
③ CPU|インテルの「作れるようになった」が数字に出た
CPUの分野では、インテルの回復がはっきりしました。これまでインテルの弱点は「設計はできても、最先端の工場で安定して作れない」ことでした。18Aの歩留まりが65%→85%に上がったというのは、100枚作って65枚しか使えなかったものが85枚使えるようになった、という意味です。同じ工場・同じ材料で作れる数が増えるので、利益率に直結します。
7〜9月の見通しも、売上158〜168億ドル・調整後EPS 0.38ドルと、市場予想(売上151億ドル・EPS 0.27ドル)を上回る水準を示しました。
④ 製造装置|ASMLが通期見通しを大幅に引き上げた
ASMLの4〜6月期は売上93億ユーロ・純利益29億ユーロ。会社自身の見通し(84〜90億ユーロ)を上回りました。さらに大きいのは2026年通期の見通しを、従来の360〜400億ユーロから430〜450億ユーロへ引き上げたことです。7〜9月も110〜120億ユーロを見込んでいます。露光装置はチップを作るうえで代わりがきかないため、ASMLの見通しは業界全体の設備投資の温度計になります。
東京エレクトロンは売上7,323億円(+33.3%)・営業利益2,114億円(+46.1%)。前年同期は減収減益だったので、そこからの明確な反転です。ただし通期の業績予想はまだ出していません(中間決算の発表時に開示予定)。
アドバンテストは決算そのものより、通期見通しの引き上げが主役でした。営業利益の見通しを6,275億円→8,460億円へ、34.8%も上乗せしています。理由は「推論用AI半導体向けのテスト需要が、4月時点の想定を大きく上回る」こと。AIが「学習」から「実際に使う(推論)」段階へ進み、その分だけチップの検査が増えているという話です。
2社の違いは「東京エレクトロンの次を狙え」でも解説しています。
⑤ 光電融合(光インターコネクト・CPO)|決算はこれから
光でデータをやり取りする「光電融合」の関連銘柄は、この期間にはまだ決算が出ていません。主要各社の発表は8月中旬以降になります。数字が出そろい次第、この記事に追記します。
技術の中身と注目銘柄は「光インターコネクト・CPO関連株 完全ガイド」にまとめています。
この決算から読み取れる3つのこと
1. お金は「AIを作る側」に集中している。TSMC・ASML・アドバンテストといった、AIチップを作るための会社がそろって強い数字を出しました。特にアドバンテストが挙げた「推論用のテスト需要」は、AIが実験段階から日常利用へ移っていることを示しています。
2. メモリは「良い決算=株価上昇」ではなくなった。SKハイニックスは利益率76%でも下落しました。期待が先に織り込まれている銘柄では、決算の数字より「予想を超えたか」が効きます。
3. 品不足はまだ続く見通し。サムスンは2026年後半について「サーバー向けの需要は堅調で、増産しても供給制約は続く」としています。メモリの価格が高止まりしやすい環境は、まだ終わっていません。
よくある質問
Q. 「市場予想(コンセンサス)」とは何ですか?
A. 複数の証券会社のアナリストが出した予想の平均です。集計する機関によって数値が違いますので、「だいたいこのくらいが期待されていた」という目安として見てください。
Q. 決算が良かったのに株価が下がるのはなぜですか?
A. 株価には「これくらい良いだろう」という期待があらかじめ織り込まれているためです。期待より下だと、良い決算でも売られます。SKハイニックスが今回その典型でした。
Q. これから買うならどこを見ればいいですか?
A. 決算の数字そのものより、会社が出す「次の四半期の見通し」を見るのがおすすめです。TSMCもインテルもASMLも、今回は見通しの強さで評価されました。
まとめ
2026年4〜6月期は、AIチップを作る側がそろって強く、メモリは数字が良くても期待に届かなければ売られるという決算でした。供給不足が続く見通しである以上、業界全体の追い風はまだ吹いています。
ただし、ここに出てきた企業の多くは米国・韓国・台湾の会社です。日本から買うには外国株を扱う証券口座が要ります。
出典
- TSMC「2Q26 Earnings Release」2026年7月16日
- ASML「Q2 2026 financial results」2026年7月15日
- Intel「Reports Second-Quarter 2026 Financial Results」2026年7月23日
- Samsung Electronics「Announces Second Quarter 2026 Results」2026年7月30日
- SK hynix「2Q26 業績発表」2026年7月29日
- キオクシアホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕」2026年7月31日
- 東京エレクトロン「2027年3月期 第1四半期決算短信」2026年7月30日
- アドバンテスト「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」2026年7月29日

