※本記事は広告・PRを含みます。2026年9月30日時点で確認した情報をもとに作成しています。
メモリ株を持っていると、「中国のCXMTが上場して株価が5倍」「中国製DRAMをアップルが検討」といったニュースが気になりますよね。見るたびに、手放すべきか迷ってしまう方もいると思います。
先に結論:CXMTが追い上げているのは汎用のDRAMで、3強の稼ぎ頭であるAI向けのHBMはまだ量産前です。ただし、上場で得た資金を使った投資や、米国の規制の行方しだいで、勢いが変わる可能性はあります。CXMT(長鑫存儲)の上場資料・決算・規制の動きを確認日つきで整理したので、ニュースを見たときの物差しにしてみてください。
この記事の答え
CXMTは汎用DRAMでは確実に伸びていますが、HBMでは量産の公式発表がなく、韓国2社とマイクロンの「覇権」はまだ崩れていません。
- 汎用DRAM:2026年4〜6月期の売上シェアは約7%(Counterpoint調べ)。7月27日に上海の科創板へ上場
- HBM:量産の公式発表は見つかりません。HBM3の試作の歩留まりは約25%との報道(2026年9月)
- 規制:米国防総省の「中国軍関連企業」リストに掲載。商務省のエンティティリストへの追加は、9月30日時点で確認できません
CXMTとは:中国最大のDRAMメーカー
CXMT(ChangXin Memory Technologies、長鑫存儲)は2016年設立、本社は安徽省合肥市です。上場後の社名は「長鑫科技」で、銘柄コードは688825です。
DRAM(作業中のデータを一時的に置くメモリ)の中でも、AI向けに板を積み上げた高速品をHBMと呼びます(HBMとは?|AI時代のメモリ革命を初心者向けに解説)。CXMTの主力は、スマホやパソコン向けの汎用DRAMです。
上場の資料では、Omdiaの調べとして、2025年10〜12月期の売上でCXMTの世界DRAMシェアが7.67%まで上がり、中国1位・世界4位になったとしています(新華網 2026年5月18日)。
上場(IPO)で何が変わったか
CXMTは2026年7月27日、上海証券取引所の科創板(ハイテク企業向けの市場)に上場しました。調達額は579.19億元で、科創板で過去最大です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場日・市場 | 2026年7月27日・上海 科創板(688825) |
| 公開価格/初値 | 8.66元/49.5元(公開価格の約5.7倍) |
| 初日の時価総額 | 約3.3兆元。中国株で最大と報道 |
| 2026年1〜6月の売上高 | 1,503.1億元(前年同期比+873.64%) |
| 同 純利益(親会社帰属) | 776.05億元(前年同期は23.3億元の赤字) |
上場は経済日報・36Kr Japan(2026年7月27〜30日)、業績は長鑫科技の2026年半期報告(8月28日公表・毎日経済新聞の報道)。2026年9月30日確認。
メモリ価格の急騰で、赤字だった会社が、半年で776億元を稼ぐ会社に変わりました。3強にとっては「資金に困らない4番手」が生まれたことになります。
その資金の使い道も、見え始めています。CXMTは9月28日、上場で予定より多く集まった資金のうち180億元を使い、DRAMの研究開発と、検査・組み立ての工場(第2期)に、合計349億元を投じる計画を発表しました(同花順財経 2026年9月28日)。
DRAMのシェア:3強の合計はまだ9割近い
2026年4〜6月期のDRAM売上シェアです。調査会社によって数字が少し違うので、2社分を並べます。

| 会社 | TrendForce | Counterpoint |
|---|---|---|
| サムスン電子 | 39.4%(609.8億ドル) | 39% |
| SKハイニックス | 24.9%(385.9億ドル) | 26% |
| マイクロン | 23.3%(360億ドル) | 25% |
| CXMT | 発表資料に記載なし | 7% |
TrendForce(2026年9月7日発表)、Counterpoint(2026年8月の発表をTweakTownが報道)。2026年9月30日確認。
CXMTは伸びていますが、3強の合計はTrendForceで約88%、Counterpointで90%です。
CXMTは2026年9月20日、第5世代の製造技術(G5)の量産を発表し、24GBのスマホ向けLPDDR5Xを展示しました(澎湃新聞)。汎用品の技術差は縮まっています。
HBMはまだ量産前:歩留まりの壁
3強の利益をいちばん左右するのは、HBMです。
| 会社 | HBMの状況 | HBM売上シェア |
|---|---|---|
| SKハイニックス | 最新世代HBM4を本格出荷 | 50% |
| サムスン電子 | HBM4の販売を拡大 | 33% |
| マイクロン | HBM4を主力顧客へ大量出荷(6月の決算の説明) | 18% |
| CXMT | 2世代前のHBM3を試作中。量産の公式発表なし。HBM3Eの少量試作の報道あり(会社は認めていない) | — |
シェアは2026年4〜6月期(Counterpoint調べ・2026年9月3日報道)。3強の状況は各社の直近決算。2026年9月30日確認。
CXMTのHBMの報道は次のとおりです。
- 2026年4月22日:DigitimesがHBM3の「2026年内の量産は難しい」と報道
- 2026年9月:Digitimesが、韓国報道を引いてHBM3の試作の歩留まりが約25%にとどまると報道
- 2026年8月31日:米The Informationが、次世代のHBM3Eを少量試作し中国企業が評価中と報道。CXMTと顧客は認めていません
4個作って3個が不良という水準では、AI向けに大量に届けるのは難しいでしょう。ただし中国の華為(ファーウェイ)は2026年3月、自社開発のHBM「HiBL 1.0」を載せたAIチップ「Ascend 950PR」を発表しています(TrendForce)。中国の中だけで回る市場は、少しずつ育っています。
米国の規制はどこまで効いているか
CXMTに関わる規制の流れです。

| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年12月 | 米商務省がHBMの中国向け輸出を許可制に(連邦官報 2024-28270) |
| 2025年1月 | 米国防総省がCXMTを「中国軍関連企業」(1260Hリスト)に指定 |
| 2025年12月 | サムスン・SKハイニックスの中国工場向け装置は、包括許可から「年ごとの許可」へ。2026年分は承認 |
| 2026年6月 | 国防総省が1260Hリストを更新。CXMTは掲載のまま |
| 2026年7月 | 米下院議員2名が、CXMTのエンティティリスト追加と米企業の購入禁止を商務長官に要請 |
| 2026年8月 | 商務長官がアップルの中国製メモリ購入に否定的な考えを表明(WSJ報道)。CXMTは指定の取り消しを求め国防総省を提訴 |
出典は末尾に記載。2026年9月30日確認。
ポイントは、米企業がCXMTの製品を「買う」ことまでは、まだ禁じられていない点です。議員が求めた購入禁止は、AI・データセンター・連邦政府のIT・重要インフラ向けに限ったものです。これが通れば、米企業のこうした用途での調達は止まります。通らなければ、中国製DRAMが広がる余地が残ります。商務省がどう判断したかは、9月30日時点では確認できませんでした。この判断が、今後いちばん大きな分かれ目です。
メモリ3強への影響を1社ずつ
以下は公表情報をもとにした筆者の整理です。
| 会社 | CXMTの影響 | 見ておく点 |
|---|---|---|
| SKハイニックス | HBM首位で、直接の競合はまだ小さい | 中国・無錫のDRAM工場の年ごとの許可 |
| サムスン電子 | 汎用DRAMの比重が大きく、価格競争を受けやすい | 中国・西安のNAND工場の許可、HBM4の伸び |
| マイクロン | 中国のデータセンター向けサーバー用チップから撤退する方針(ロイター 2025年10月17日報道) | 9月30日の決算で示した次の四半期の会社予想(売上615億ドル±15億ドル) |
マイクロンは2023年5月、中国当局から重要インフラ向けの購入を禁じられました。その後、中国のデータセンター向けサーバー用チップから撤退する方針を決めたと報じられました(ロイター)。自動車向け・スマホ向けは続けるとされ、中国本土の売上は直近年度で34億ドル(売上の12%)でした(同報道)。
3社の決算・株価の比較はサムスン・SKハイニックス・マイクロン比較|決算とHBM【2026年9月】、マイクロンはマイクロン(Micron・MU)株分析|売上542億ドルの決算とHBM4、モルガン・スタンレーの評価の推移で整理しています。
投資家が見張る4つの合図
CXMTの脅威が本物になるかどうかを見るときは、次の4つの合図が手がかりになります。どれも、9月30日時点ではまだ起きていません。
- HBM3の量産を会社が公式に発表する(報道ではなく会社発表)
- 米国の大手がCXMTのDRAM採用を認める(アップルは評価中と報道)
- 米商務省がCXMTをエンティティリストに加える(加われば装置の入手がさらに難しくなる)
- メモリ価格が下がり始める(TrendForceは9月30日、10〜12月期も汎用DRAMの契約価格が前期比10〜15%上がると予想。マイクロンも9月30日の決算説明会で、2027・2028年は2026年よりはるかに品薄になる見込みと説明)
1と2が起きれば3強には逆風、3が起きれば追い風です。4は、CXMTの増産が効いてくる局面です。
日本から3強に投資するには
マイクロン(MU)と、7月に米ナスダックへ上場したSKハイニックスのADR(SKHY)は、米国株の口座で買えます。サムスン電子は韓国株の取扱いがある証券会社が必要です。
マイクロンとSKHYの両方を同じ口座で持ちたい場合は、米国株の銘柄数が多いマネックス証券が候補になります。
マネックス証券(マイクロンとSKHYを同じ口座で)
※広告・PR 手数料・取扱銘柄・キャンペーン条件は変更されることがあります。申し込み前に公式サイトで最新をご確認ください。
NISAで米国株を少額から始めたいなら、DMM株も選択肢です。1株単位で注文できます。
DMM株(米国株・NISA成長投資枠対応)
※広告・PR NISA口座での米国株の国内取引手数料0円は条件つきです。手数料・取扱銘柄は申し込み前に公式サイトで最新をご確認ください。
韓国株の買い方はSKハイニックス株の買い方【2026年9月】NISA・ADRは1枚約3万円で説明しています。
まとめ:過大評価も過小評価もしない

CXMTは上場で資金を得て、汎用DRAMでは約7%のシェアまで来ました。9月には、その資金で研究開発と検査の工場に投資する計画も示しています。一方でHBMは試作の段階で、米国の規制をめぐる議論も続いています。「3強の覇権がすぐ崩れる」とも「中国は脅威ではない」とも言えない、というのが9月時点の事実です。
一度に全額を入れず、上の4つの合図を見ながら、何回かに分けて判断するのが現実的です。値動きの背景はメモリ株の暴落リスク5選|AIバブル崩壊に備えるヘッジ法3選【2026年最新】も参考にしてください。
今日できる小さな一歩として、気になっているメモリ株が汎用DRAMとHBMのどちらで多く稼いでいる会社なのかを、その会社の直近の決算資料で確かめておくと、CXMTのニュースに振り回されにくくなります。
この記事は情報の整理が目的で、特定の銘柄を勧めるものではありません。投資の判断はご自身でお願いします。
出典(2026年9月30日確認)
- 経済日報:長鑫存儲の上場初日(2026年7月27日)/36Kr Japan(2026年7月30日)
- 新華網:長鑫科技のIPO(目論見書のシェア記載・2026年5月18日)
- 毎日経済新聞:長鑫科技 2026年半期業績(2026年8月28日)
- 同花順財経:長鑫科技の研究開発・検査工場への投資計画(2026年9月28日)
- 澎湃新聞:G5技術の量産発表(2026年9月20日)
- TrendForce:2026年4〜6月期 DRAM売上ランキング(2026年9月7日)
- TrendForce:2026年10〜12月期のメモリ契約価格の見通し(2026年9月30日)
- Micron:FY2026 第4四半期 決算説明会の原稿(2026年9月30日)
- TweakTown:Counterpointの2026年4〜6月期DRAMシェア
- Digitimes:CXMTのHBM3量産時期(2026年4月22日)/同 歩留まり約25%(2026年9月10日)
- Tech Times:The InformationのHBM3E試作報道(The Information 2026年8月31日、Tech Times 9月1日)
- TrendForce:華為 Ascend 950PR(2026年3月23日)
- 米連邦官報 2024-28270(HBMの輸出管理)
- Tom’s Hardware:サムスン・SKハイニックスの2026年分の装置許可
- 米下院中国特別委員会:商務長官あての書簡(2026年7月16日)
- AppleInsider:商務長官の発言(WSJ報道・2026年8月15日)
- Evertiq:CXMTの国防総省提訴(2026年8月31日)
- CNBC:マイクロンの中国データセンター向けサーバー用チップ撤退方針(ロイター報道・2025年10月17日)
- HBM売上シェア(Counterpoint)と3強のHBMの状況はサムスン・SKハイニックス・マイクロン比較|決算とHBM【2026年9月】の出典に準拠

