日本の伝説的投資家5選|BNF・cis・竹田和平・是川銀蔵・村上世彰の投資哲学
ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスだけが偉大な投資家ではありません。日本にも、独自の手法で巨額の資産を築き上げた伝説的な投資家たちがいます。ジェイコム株の誤発注で一躍有名になったBNF、230億円を稼いだデイトレーダーcis、「日本一の個人株主」竹田和平、「最後の相場師」是川銀蔵、そして「物言う株主」の先駆者・村上世彰。本記事では、5人の投資哲学と、そこから学べる教訓を紹介します。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的とするものではありません。投資にはリスクが伴います。
BNF|ジェイコム誤発注で20億円
BNF(本名非公開)は、2000年代に日本で最も注目を集めた個人投資家です。大学生時代に164万円の元手で株式投資を始め、わずか数年で数百億円規模の資産を築いたとされています。
BNFが一躍有名になったのは、2005年12月のジェイコム株誤発注事件です。みずほ証券の担当者が「1株61万円で売り」とすべきところを「1円で61万株売り」と誤発注し、市場が大混乱に陥りました。BNFはこの暴落局面でジェイコム株を大量に購入し、わずか数分で約20億円の利益を得たとされています。
しかし、BNFの真価はこの一発の大勝負にあるのではありません。彼の投資手法の核心は、乖離率を利用した逆張りトレードです。株価が移動平均線から大きく乖離(かいり)した銘柄を見つけ、平均への回帰を狙って売買するというシンプルな手法を、驚異的なスピードと判断力で実行し続けました。
BNFはメディア露出を極力避ける人物ですが、テレビ番組に出演した際には、モニター6台を駆使して複数の銘柄を同時監視する姿が映し出されました。徹底的な相場観察と瞬時の判断力が、彼の成功を支えていたのです。
cis|230億円を稼いだデイトレーダー
cis(本名非公開)は、104万円の元手から230億円以上の資産を築いたとされる日本屈指のデイトレーダーです。2018年に出版した著書で自らの投資哲学を公開し、大きな話題となりました。
cisの投資スタイルは、BNFとは対照的な「順張り」です。上がっている株を買い、下がっている株を売る。トレンドに逆らわず、勢いのある方向に乗るという手法です。彼はこれを「上がっているものは上がる確率が高い」というシンプルな経験則に基づいて説明しています。
cisの投資哲学で注目すべきは「損切りの徹底」です。彼は含み損を抱えたポジションを躊躇なく切り捨て、利益が出ているポジションを伸ばすことを鉄則としています。「勝率は4割でいい。負けを小さく、勝ちを大きくすれば、トータルで勝てる」という考え方です。
また、cisは2008年のリーマンショック時に日経平均先物の空売りで大きな利益を得たことでも知られています。暴落時にもチャンスを見出せる柔軟な姿勢が、長期間にわたって利益を出し続けている要因のひとつでしょう。
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竹田和平|日本一の個人株主
竹田和平(1933〜2016年)は、「タマゴボーロ」で知られる竹田製菓の創業者であり、「日本一の個人株主」と呼ばれた投資家です。100社以上の企業の大株主に名を連ね、配当収入だけで年間数億円を得ていたとされています。
竹田の投資スタイルは、バフェットに近い長期バリュー投資です。割安で配当利回りの高い銘柄を見つけて購入し、長期にわたって保有する。「花のタネをまいて、水をあげて、花が咲くのを待つ。投資もそれと同じだ」という言葉に、彼の投資哲学が凝縮されています。
竹田が重視していたのは、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)が低く、配当利回りが高い銘柄です。いわゆる「バリュー株投資」の王道ですが、竹田はそこに「感謝の心」という独自の要素を加えていました。
竹田は「ありがとう」を毎日何千回も唱えるという習慣で知られ、投資先の企業にも感謝の手紙を送っていたといいます。一見すると投資と関係のないようですが、彼は「感謝の心がある人には良い情報が集まり、良い投資ができる」と信じていました。実業家としても投資家としても成功した竹田の生き方は、投資における心の持ち方の大切さを教えてくれます。
是川銀蔵|「最後の相場師」
是川銀蔵(1897〜1992年)は、昭和の日本で最も有名な相場師のひとりです。幾度もの破産と復活を繰り返しながら、最終的には「最後の相場師」の異名を取るまでになりました。
是川の投資手法は、徹底的な独自調査に基づいています。彼は図書館に通い詰めて業界の動向を研究し、現地調査で企業の実態を確認したうえで投資判断を下しました。「投資の秘訣は、人の行かないところに行き、人の読まない本を読むことだ」という言葉は、この姿勢を表しています。
是川が最も有名になったのは、1981年の住友金属鉱山株での大勝負です。金価格の上昇を見越して同社株を大量に購入し、約200億円の利益を得たとされています。この取引で得た利益に対する課税額が、当時の個人所得税の日本記録を更新したことでも話題になりました。
しかし、是川の人生は成功だけではありません。晩年には投資の失敗により多額の借金を抱え、困窮の中で亡くなりました。彼の人生は、投資における栄光と挫折の両面を体現しています。「相場に全財産を賭けてはいけない」という教訓を、身をもって示した人物とも言えるでしょう。
村上世彰|物言う株主の先駆者
村上世彰(1959年〜)は、日本における「物言う株主(アクティビスト)」の先駆者です。通商産業省(現経済産業省)の官僚を経て、1999年にM&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)を設立しました。
村上の投資哲学の核心は「コーポレートガバナンスの改善」です。彼は、日本企業の多くが株主の利益を軽視し、内部留保を溜め込んだまま有効活用していないと指摘しました。そして、大株主として経営陣に対して増配や自社株買い、事業の選択と集中を要求する手法を取りました。
村上の手法は当時の日本では極めて異質であり、「ハゲタカ」と批判されることも少なくありませんでした。2006年にはニッポン放送株のインサイダー取引容疑で逮捕・有罪判決を受け、大きな社会的議論を巻き起こしました。
しかし、村上が提起した問題意識、すなわち「日本企業はもっと株主を大切にすべきだ」という主張は、その後の日本のコーポレートガバナンス改革の流れの中で次第に受け入れられていきます。2015年のコーポレートガバナンス・コード導入により、株主還元や社外取締役の設置が推進され、村上が先駆的に訴えた理念は制度として結実しました。
村上は著書の中で、「投資とはお金を循環させること。お金は使われなければ意味がない」と述べています。貯め込むのではなく、有望な事業や人材に資本を投じることが経済全体を豊かにする。この考え方は、個人の資産形成を超えた投資の社会的意義を示しています。
まとめ
5人の伝説的投資家は、それぞれまったく異なるスタイルで成功を収めました。BNFの乖離率トレード、cisの順張りとリスク管理、竹田和平の長期バリュー投資、是川銀蔵の独自調査、村上世彰のアクティビズム。手法は多様でも、共通しているのは「自分なりの投資哲学を持ち、それを一貫して実行した」という点です。
同時に、是川銀蔵の晩年が示すように、投資には常にリスクが伴います。成功談だけでなく失敗談からも学び、自分に合った投資スタイルを見つけることが大切です。日本にもこれほど多彩な投資家がいたという事実は、投資の世界の奥深さと可能性を教えてくれます。
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